店の中心に、魚の回遊する大いけすを構える活魚専門店。全体計画から、古材の買い付け、内装、家具、照明器具、庭、いけすのデザイン、小物のコーディネートにいたるまでトータルに担当。700㎡の大空間に趣向の異なる140席を配している。
エントランスでは、長い間商家で活躍してきた杉のくぐり戸と、烏賊の泳ぐさわらの大樽が迎える。店の中心には大いけすが広がり、季節の魚が回遊する。水面には、5卓の小上がり席を持つ櫓が浮かび、いけすの両側には、水辺をのぞむ小上がりが配される。いけすにむかうオープン形式の板場では、新鮮な海の幸がさばかれている。その奥には、土間空間がひかえる。高天井からは、光が注ぎ、古色に艶めく赤間梁の架かる土間を照らす。土間には、趣向の異なる7つの小部屋がつらなる。設計においては、様々な場で活躍してきた赤松梁、くぐり戸などの古材の持つ力と、現代つくられる素材を融合させながら、新たな表情を持つ空間を作り出し、経年とともに、深い味わいとなっていくことを意図している。